めだかボックス 9巻
前回の庶務戦の最後、ハブに噛まれた人吉善吉は、一度死ぬこととなるが、
心の中の世界にて黒髪の少女に視力を戻され、生還することとなる。
一方庶務戦の最中、マイナスに襲われた凶化合宿中の阿久根高貴、喜界島もがな、黒神真黒、日之影空洞。
結果彼らは戦線を離脱することとなる。
そして次にマイナスは黒神くじらを勧誘にかかる。
一度はその誘いに乗ったくじらだったが、思い返して気付くことになる。
『あいつらが大好きだ』という事実にである。
この事実に気付いた瞬間の『ぽかん』としたような、驚いたような顔は、実に可愛らしい。
格好つけたがりなくじらの、不意をつかれたような顔は、どうにもぐっとくるものがあった。
その場にて志布志飛沫と書記戦を戦うことを決意したくじらは、阿久根の代理として登録をする。
今回の戦闘形式は『冬眠と脱皮』。零下48度の倉庫内において、相手の衣服を全て脱がした方の勝利となる。
この生徒会戦挙における、あらゆるルールを研究していたくじらは、前準備として、
ありとあらゆる環境に耐えうる衣服を着用していた。
刃も防ぐ、戦闘において完璧な衣服に見えたが、飛沫のマイナスはそれをものともしないものであった。
『古傷を開く』という能力を持つ飛沫に対し、即座に傷口を凍らせ塞ぐという手段を取り、
負けず劣らずの状況だったかと思われたが、飛沫が開く古傷は外傷的なものだけではなかったのだ。
過去にトラウマを信じられないほど抱えたくじらにとって、心の古傷を開かれるのは相当な痛手であった。
だが、その状況から、驚くべきことにくじらは、自らの身体を改造し、マイナスを生み出すことに成功する。
『凍る火柱(アイスファイア)』と命名されたその能力により、傷口を自ら凍らせ、
頭を冷やしトラウマも物ともしない状況を作り出したくじらは、飛沫を圧倒する。
この『凍る火柱』だが、使った際の姿がまるで何かバトル漫画の登場人物のように格好いいと私は感じた。
格好つけたがりなくじららしいな、と微笑ましくもなるが、とにかくこの話、くじらが格好良い。
ちなみにこの話の中で見せる、くじらの抜け目なさにも、惚れ惚れさせてもらった。
そして勝利をもぎ取ったくじらだったが、負けたマイナスが学園を去ろうとしたのを引き止めるため、
自ら勝利を捨てる。彼らが何も変わらぬまま学園を去るのはめだかの本意ではない。
その想いを汲み取った姉の計らいだった。
この9巻、黒神くじらが本当に可愛くて、かっこいい。
姉である黒神くじらから垣間見えるデレの部分を、楽しんでいただけるといいだろう。